Secret Lover's Night 【完全版】
君は僕の宝物
ビルの合間が、夕焼けで染まる。
そんな空を眺めながら、晴人はただ無言でアスファルトを踏み締めながら歩いた。後ろに、千彩が指名した二人の友人を引き連れて。
重たい気分を何とか逃そうと、立ち止まりすぅっと息を吸い込む。生まれ育った町とは違う、この数年ですっかり慣れ親しんだはずの都会の空気。それが余計に気分を重く、更には息苦しくして。
「地元…帰りたいな」
父と母、結婚して家を出てしまった姉、バンド活動をしながらフラフラと暮らしている弟の顔がふと脳裏を過ぎる。
「王子?」
「どしたー?グルーミー晴人」
あははっ。と陽気に笑いながら肩を組む友人は、自分の弱い部分を唯一知っている人間で。誰にもそういった部分を見せない晴人だからこそ、この友人をとても大切に、有り難く思っていた。
「惚れてんだろ?シャキッとしろってーの」
「もう…忘れようや、それ」
「え?なになにー?お前そんなこと言うたん?」
「そう!実はさぁ…」
「あー!もうええから!」
「何なん?俺にも教えろってー」
「はいはい。またな」
笑い合いながら、三人で夕暮れの町並みを歩く。さて、これからだ…と。
そんな空を眺めながら、晴人はただ無言でアスファルトを踏み締めながら歩いた。後ろに、千彩が指名した二人の友人を引き連れて。
重たい気分を何とか逃そうと、立ち止まりすぅっと息を吸い込む。生まれ育った町とは違う、この数年ですっかり慣れ親しんだはずの都会の空気。それが余計に気分を重く、更には息苦しくして。
「地元…帰りたいな」
父と母、結婚して家を出てしまった姉、バンド活動をしながらフラフラと暮らしている弟の顔がふと脳裏を過ぎる。
「王子?」
「どしたー?グルーミー晴人」
あははっ。と陽気に笑いながら肩を組む友人は、自分の弱い部分を唯一知っている人間で。誰にもそういった部分を見せない晴人だからこそ、この友人をとても大切に、有り難く思っていた。
「惚れてんだろ?シャキッとしろってーの」
「もう…忘れようや、それ」
「え?なになにー?お前そんなこと言うたん?」
「そう!実はさぁ…」
「あー!もうええから!」
「何なん?俺にも教えろってー」
「はいはい。またな」
笑い合いながら、三人で夕暮れの町並みを歩く。さて、これからだ…と。