いとしのくまこさん
トイレから宴会場へ戻る廊下に、小さなクマのぬいぐるみのマスコットが落ちていた。


ただ拾おうとしただけだ。


見下げたメガネの奥には、冷たさをにじませ、こちらをじっと睨んでいる。


「ちょ、ちょっと」


わたしが言葉を発すると同時に男性は踵を返し、去って行った。
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