どうやら、あたしのスマホが擬人化したらしい。
「何言ってんだよ、理曖(りあ)!俺はまだ承諾してねーぞ!ふざけんな!」
叫ぶたび、唾が顔に飛んでくる。
……汚らわしい男。
「短気ね。唾飛ばさないでくれる?化粧し直しじゃない。…それとも何?この住宅街で叫ばれたいの?助けてー、犯されるぅって。」
冷ややかな笑みを浮かべる。
するとミナトは一瞬かたまり
「後で覚えてろよ!」
と、またもや有りがちな台詞を残して走り去った。
「あ、あと。あたしの名前呼ばないでくれない?気色悪いから」
ミナトの後ろ姿に冷たい声を投げ掛けて、あたしは精々しながら学校へとまた歩みを進めていった。