魅せられて
「今 何時?」
ベットサイドに置いた
腕時計を取った引地が
時間を告げながら
腕に嵌める
「9時過ぎ」
随分な朝寝坊
朝方まで戯れていた割りに
引地がさっぱりとした顔をしているのは
シャワーを浴びたからだけでは
ないようだ
これが男女の
体力の差なのだろうか
「今日の予定は?」
全裸のまま
ベットから降りた私は
引地の横を通り過ぎ
シャワールームへ向かう
「昼に約束がある」
「そう 早く支度するわ
待ってて
一人でホテルから出るのは
ちょっと恥ずかしいもの」
私は悪戯に舌を出した
「10時過ぎると延長料金が加算する
ビール一本分でも 無駄にしたくはないね」
現金な男
でも わざと言っている事くらい
わかっているわ
愛を囁き合うつもりは
毛頭ないわね
ちょっとした遊戯に
戯れただけだもの