魅せられて
一時の気の迷いでも
体を重ねたばかりの男から
男性の名前を聞くのは
胸に突き刺さる
引地は どんな思いで
私を抱いたのだろう
他の男に気を取られた女を
抱きながら
どんな事を感じたのだろう
後腐れないSEX
引地は私に
遠慮する事はないと
高梨の名前を発した気がする
どこまでも
私を微睡のまま
包み込む男
振り返らず
立ち去った引地が
私の道標になる
高梨の椅子の傍へ
私を誘導した時と
同じように
引地は私の行き先を
指し示す
『土曜は必ず来る』
高梨に逢いに行けと
私の背中を押す
戯れたSEXを
まるで隠滅するように
引地は自分から
私との契りを消滅させた