魅せられて
私は露骨に
つまらなそうな顔を
していたのでしょうね
「何か あった?」
引地に尋ねられ
自分の態度に
気付かされたわ
続かない会話へ
終止符を打つように
投げかけられた質問
「響子は 彼氏いるのか?」
真顔で聞く引地が
顔を背け
グラスの氷を鳴らす
「どうなのかしら」
多分 私は
私自身に問いかけていた
気がする
歯に噛んだ笑みを
浮かべた引地が
酒を口に含み
「居る事は 居るんだな」
私は首を捻り
小さな溜息をつき
「よく わからないの
”さようなら”は言ったけれど
その後の返事は 聞いてないわ」
引地は笑みを消し
数秒の間を置き
「微妙だね」
言葉を零した