魅せられて


気を利かせたマスターが
外国製の燻製を
高梨と私に
サービスとして出してくれた


二人の
共通点を繋ぐように


「どうですか?」


試食として
出された燻製は
外国製ならではの
硬さだけが目立ち


噛み砕けない燻製を
必死に齧り
味を確認してみたが
顎だけが悲痛を訴える


私は 上手い事
燻製を表現したかったけれど
未知に近い不慣れな味に
湧き上がる言葉は浮かばず


「顎が痛い…」


情けない評価を下していた


「なんだそれ」


燻製を齧りながら
鼻で笑う高梨は
飽きれた顔をする


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