魅せられて
正直 ムッとした私は
女性の魅力で誘惑するどころか
子供のように言い返してしまう
「高梨さんは どうなのよ」
相変わらず首を捻る高梨は
口から出した燻製を眺め
「外国製の燻製」
私は勝ち誇ったように
鼻で笑い返し
「見たまんまじゃない」
微笑んだマスターが
同意を示し
小さな燻製を摘み
口へ含んだ
「確かに
外国製の商品は
特徴がありますよね
お菓子でも
ゴム製品に近い食感の物が
ありますから」
マスターの言葉は
私と高梨の評価を
優しく繋ぎ合わせていた