魅せられて


正直 ムッとした私は
女性の魅力で誘惑するどころか
子供のように言い返してしまう


「高梨さんは どうなのよ」


相変わらず首を捻る高梨は
口から出した燻製を眺め


「外国製の燻製」


私は勝ち誇ったように
鼻で笑い返し


「見たまんまじゃない」


微笑んだマスターが
同意を示し
小さな燻製を摘み
口へ含んだ


「確かに
 外国製の商品は
 特徴がありますよね

 お菓子でも
 ゴム製品に近い食感の物が
 ありますから」


マスターの言葉は
私と高梨の評価を
優しく繋ぎ合わせていた
 

< 39 / 116 >

この作品をシェア

pagetop