魅せられて


季節は春だと言うのに
まだ夜風は冷たい


コートを羽織り
数歩 歩き
足が止まった


通り過ぎる車
擦れ違う人々


誰とも交わさない
視線


取り残された私の存在は
何処にあるの


携帯電話を開き
遊び慣れした
女友達のアドレスを探し


携帯電話を閉じた


数年間
主婦でもないのに
男の為に尽くしてきた
無駄な時間


女友達の誘いを
生真面目に断り続けた
遊び慣れていない私


今更 彼女達の中で
私の存在は
どう映るのかしら


< 4 / 116 >

この作品をシェア

pagetop