魅せられて
あれ程 距離を感じていた
カウンター席が
僅かばかり
縮まった気がする
相変わらず
ライターを鳴らし
静かに酒を飲む高梨
そして
煙草に火を燈す私
無駄に煙草を消す事は
しなくなっていたのは
高梨の視線に
私が映る事はないけれど
同じ空間の中
私と言う存在を
微かだが認められたからだ
不思議ね
異性として意識しているのに
この距離を保ちたいと願う
私は恋愛に興味を
失った女なのではなく
恋愛に溺れる事が
怖いのかも
しれない
素直に泣き崩れる
艶女達が
腫れ上がる瞼を気にして
涙を零しながら
アイスノンで冷やす仕草が
馬鹿馬鹿しいものではなく
可愛らしく思えてくる
私は 臆病者
バーテンダーの女性にも
艶やかな女友達にも
負けているのでしょうね