魅せられて
『野暮な事』
単純な言葉だけれど
高梨と私の距離を縮める
関係などないのに
見えない糸を
感じてしまう
何事もなかったように
煙草をくわえ
グラスを傾ける高梨は
私との散歩すら
消し去ってしまうけれど
連れ出してくれた事実は
変わらない
マスターが出してくれた
外国製の燻製と同じ
私と高梨を繋ぐ桜
常連客を含めて
桜の話題が共通点として
時を刻んでゆく
高梨の声に
答える私がいるなんて
想像すらしていなかったもの