魅せられて
外灯が輝きを増し
夜が深まる頃
BARからも話声が
微かに漏れ
ほろ酔いの宴が
始まっていた
カウンターの隅に
無機質に苛立ちを放つ
高梨の姿がある
常連客にも背を向け
誰もいない壁を眺め
不貞腐れる態度
見るからに
人を拒絶する
我侭な風貌が鼻についた
常連客も高梨と距離を置き
当たり障りなく
気を遣っているようで
カウンター席が いつもより
ひっそりとしている
私は当然のように
引地の横に座り
高梨から目を反らしていた