魅せられて


外灯が輝きを増し
夜が深まる頃


BARからも話声が
微かに漏れ
ほろ酔いの宴が
始まっていた


カウンターの隅に
無機質に苛立ちを放つ
高梨の姿がある


常連客にも背を向け
誰もいない壁を眺め
不貞腐れる態度


見るからに
人を拒絶する
我侭な風貌が鼻についた


常連客も高梨と距離を置き
当たり障りなく
気を遣っているようで
カウンター席が いつもより
ひっそりとしている


私は当然のように
引地の横に座り
高梨から目を反らしていた


< 73 / 116 >

この作品をシェア

pagetop