魅せられて


BARで出逢った
紳士的な60代の男性


名刺に刻まれる
代表取締り
”岡田 克司”の文字


私は躊躇いもなく
携帯と書かれた電話番号を
打ち込んでいたわ


感覚が麻痺していたの


私を覚えているかも
わからない事も


突然の電話に
相手先が 
どう反応するかも


会社社長である事も
何もかも忘れてしまうくらい


誰かに縋りたくなる程
寂しさが勝ってしまい


女の魅力などを
翳す勇気もなく
ただ甘えられる相手を
求めてしまった


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