魅せられて


岡田に指定された
WINE BAR


50階の窓から眺める
地上200mの夜景は幻想的で
女性客ひとりでも
入りやすい店だった


客の年齢層も
若いカップルが多く
デートスポットでもあるのだろう


手渡されたメニューも
肩を張る程の値段ではなく
手頃な表示がされている


アルコール度数が高くない
ジュース感覚のカクテルと
簡単に摘めるツマミをオーダーし
岡田が来るのを待った


窓硝子を眺めるだけで
時間が静かに刻まれてゆく


人を待つ時間が
これほど優雅に過ごせるなど
知らなかった


何度か展望台のレストランで
諸橋と食事をした事があるが
ゆっくりと窓の外を観賞する事もなく


運ばれてきたコースを
順序よく 口に運ぶ諸橋の顔ばかり
見ていた気がするが


どんな会話をしたのかすら
思い出せなかった


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