†危険な女†
「樹里、どうした?」
「だって、廉が…優しすぎるんだもん……」
優しすぎる?
「好きな女に優しくするのは当たり前だろ。」
「うー……好きぃ、廉……」
樹里は弱々しく呟き、俺の胸に顔を埋める。
ったく…。
しょうがない奴だな。
「樹里…って……」
俺は目の前のガラステーブルに置いてあった物に目が行った。
ん?
これは……
ウイスキーのボトル?
しかも半分くらい、なくなっている。
その隣には氷の入ったグラス。
中にはまだウイスキーが少し残っている。
まさか、樹里……。
「樹里、これ…お前が飲んだのか?」
俺はガラステーブルの上を指差す。
「うん。ちょっと飲みすぎちゃった♪」
樹里はお茶目な笑顔を見せる。
いや、いくらなんでもこれは……
「飲みすぎだ、樹里。こんなに一人で空けやがって……」
どうりで酒臭いし、体も熱いワケだ。