理想の恋愛
家のバカ親父こと神童(シンドウ) 拓也(タクヤ)
1年前から妹を連れて海外に出張中である。
本来なら俺も親父の海外出張についていくべきだったのだろうが、住み慣れたこの土地を離れたくないという事と、俺の特異体質上、慣れている人間がいるこの地で生活を送る方が何かと都合がいいので、結局一人で日本に残ることとなった。


妹こと神童(シンドウ) 明香(アスカ)も日本に残ると言い張ったが、当時まだ中学生だった明香は流石に親父が許可しなかった。


そういえば、親父の出張が決まって明香が日本に残ると言い張っていた時、親父と明香がこんな約束をしていた。

高校生になったら、日本に帰ることを許す。


この約束で妹も納得して親父の海外出張について行って。
俺も初めはこの約束があったので、明香は高校正になったら帰ってくると思っていたが、海外からの電話や手紙を見る感じでは、案外向こうが気に入ってるらしく帰ってこない感じだった。

現に、今年がその約束の年に当たるが、明香は帰ってきてない。


「実のパパから?
かけなおさなくていいの?」
「いや、いい。
どうせ大した用事じゃないだろ」

最近の親父の電話は本当にどうでもいいことばかり話してくる。
今回もどうせ『今日はいいおかずが手に入った!』とかわけのわけのわからんことだろう。

しかし、実の父親が思春期真っ只中の息子に対してそんな電話してくるか?普通?


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