理想の恋愛

そんなバカみたいな話をしていたら、いつの間にか三限目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。


「お、もう終わりか。さて…それじゃそろそろ教室に戻るとするかな…」
「あら、今日は何かあるの？」
「いや、特に何もないが、早く戻らないと発情男とメロンパン女がうるさいからな。
「誰が発情男だ！」

　声に反応して保健室の入り口を見ると、そこにはメロンパン女こと麗と発情男こと和磨、、それに秀、明香、そしてさっき話に出てきた彩恵が立っていた。


「あら？　大所帯でどうしたの？」


　多田が猫を被ったように声色を上げ、俺には決して見せることのない包容力のある表情で和磨たちの方に尋ねかけた。一応多田は校内では真面目で学園のマドンナとして通っているので本性を知るもの以外の前ではこのように猫を被るのである。ちなみに今この場にいる面子で多田の本性を知っているのは、俺と彩恵、秀の三人だけだった。何故か情報通の和磨は多田の本性を知らない。それどころか学園の人なら誰でも知っている多田ファンクラブなるものの会員第一号を務めている。ちなみに解説者は校長である。