理想の恋愛
「くそー！なんで俺は一番前の席なんだよー！？」
「普段の授業態度が悪いからです！」


　大まかに今の座席を確認すると、和磨は真ん中の列の一番前の席、いわゆる教卓の前（問題児が座る場所）で、俺が前回同様教卓に向かって一番左端の後列、つまり前回と同じ席である。

　そして、俺の前に秀がいてその横に麗、その前には明香という席順になっている。


「はい！それじゃあこれから五月中はこの席で行きますので！」


　みんな各々で思うこともあるようで口々に文句を言ったり喜んだりしていた。

　　俺の席も決して悪いわけではなく、むしろ最高の席なのだろうが…。


「なんでここだけ空いてるのかな？」


　麗が後ろを見ながら俺に聞いてくる。

　そう、決して悪い席順ではないのだがたった一つの懸念がそれである。

　麗の後ろ、つまりは俺の右横の席だけが不自然に空いているのである。

　俺の二つ横の席にはちゃんと生徒がいるのに、俺の真横にはクラスの人数より一つ余分な席が設けられている。

　この席の真意をこの時の俺には知る由もなかった…。

　そうこれから起こる波乱の日常を…。
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表紙・目次

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