嘘つきな唇
「あ、そういえば課長がうちの課に来る新入社員は私と同じ大学だって言ってたわ」

「そうなの？紗綾の大学、確か工学部はレベル高かったのよね。そこら辺詳しく聞いてる？」

「さあ、そこまでは知らない」

「ちょっと、そこが肝心なのに。気が利かないわね！」

「あー、はいはい。ごめんよ」

パソコンから目は離さず、千里の話に適当に相槌を打ったり適当に返事をしたり。

千里も最初から紗綾がこういう話題を真面目に相手をしてくれてるなどとは思ってもいないから、一方的に話すだけ。


そういうところがお互い楽なのかもしれないと、入社以来の付き合いで最近気づいたこと。

「ていうか、いつまで仕事してるの？もう昼休みよ。頭の切り替えできてないわよ」

千里の意見はごもっとも。そろそろ集中力が途切れそうだった。







< 12 / 25 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop