嘘つきな唇
「ちょっと、休憩室に行ってくる」

紗綾はうーんと伸びをして立ち上がると、千里に一声かけてから同じフロアにある休憩室に向かった。

朝、コンビニでサンドイッチを買ったからカフェオレか紅茶か、どっちがいいかな、と頭の中で考えながら歩いていると

「藤村」

自分を呼ぶ声に振り向く。

「課長?」

蒼士と、隣には企画業務部の統括部長。
それからその部長の後ろには顔は見えないけど、誰かが立っている。

「ちょうどよかった。今から藤村に紹介しようと思ってたところだったんだ」

蒼士は紗綾が休憩室に行こうとしていたことに気づいたんだろう「すれ違いになるところだった」とホッとしたように言っていたから。

「紹介ですか?」

多分、後ろに立っている人のことだろう。

紗綾からは部長のがっちりとした体(別名メタボな体型)でよく見えない。








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