嘘つきな唇
「前に言っただろ?うちの課に配属になる新入社員のことを」
「あ、はい。私と同じ大学出身でしたよね」
たった今、千里との間で話題になったばかりの新入社員がどうやら背後に控えている『彼』らしいことは、すぐにわかった。
「そう。で、いきなりなんだが部長と相談して、しばらく藤村のアシスタントにつけようということに決まったから」
「え?私の、ですか?」
本当にいきなりでびっくりしたが、そういえば、もうすでに部下を持つ同期がいるのも事実。
珍しいことでもない。
「ああ、いまうちの課は藤村の企画した案が進んでるところだし、仕事を覚えるにはちょうどいいだろ?」
「そ、そうですね」
珍しいことではないけれど、紗綾にすれば初めて自分の下に誰かがつくのだ。
自分一人だけなら自分のペースで仕事ができるけれど、きっと部長も課長もそれだけじゃダメだと思っての今回の判断なんだろう。
やりやすい相手ならいいけど。
紗綾はまだ顔も名前もわからない『彼』を見ようとほんの少し、首を傾けてみた。
「──は、」
「あ、はい。私と同じ大学出身でしたよね」
たった今、千里との間で話題になったばかりの新入社員がどうやら背後に控えている『彼』らしいことは、すぐにわかった。
「そう。で、いきなりなんだが部長と相談して、しばらく藤村のアシスタントにつけようということに決まったから」
「え?私の、ですか?」
本当にいきなりでびっくりしたが、そういえば、もうすでに部下を持つ同期がいるのも事実。
珍しいことでもない。
「ああ、いまうちの課は藤村の企画した案が進んでるところだし、仕事を覚えるにはちょうどいいだろ?」
「そ、そうですね」
珍しいことではないけれど、紗綾にすれば初めて自分の下に誰かがつくのだ。
自分一人だけなら自分のペースで仕事ができるけれど、きっと部長も課長もそれだけじゃダメだと思っての今回の判断なんだろう。
やりやすい相手ならいいけど。
紗綾はまだ顔も名前もわからない『彼』を見ようとほんの少し、首を傾けてみた。
「──は、」