嘘つきな唇
******
「はぁ•••」
休憩室にある自販機の前で、紗綾は重い溜め息を吐き出した。
「なんだよ、その重っ苦しい溜め息は」
そんな紗綾に声をかけてきたのは
「あ・・・相川」
同期の相川 柊也(アイカワ シュウヤ)だった。
「なんかあったのか?」
柊也はいま買ったばかりだろう缶コーヒーを紗綾に渡しながら顔を覗き込む。
紗綾も缶コーヒーを受け取りながら、ミルクティーの方がよかったな、と失礼なことを思うが、もちろん口には出さずありがたくいただくことにする。
柊也の問いには応えずに。
「おい、藤村、無視すんな。なんかあったんだろ。あ、課長と喧嘩でもしたとかか?」
「•••ちょっ、声大きい!」
別に社内恋愛禁止というわけじゃないけれど、直属の上司と部下の恋愛となるとあまりいい印象は与えないんじゃないかと、そんな思いから紗綾は蒼士との付き合いを敢えて内緒にしてるのだけど、柊也にはたまたま知られてしまったのだ。
「大丈夫だって。いまここ誰もいないし。で?喧嘩の原因はなんだよ」
にやにやしながら聞いてくる柊也に対して心の中で舌打ちする。
「・・喧嘩なんかしてないわよ」
「ふーん、じゃあ仕事のことか」
なんでちょっと溜め息吐いただけでなにかあったと勝手に決めつけてるのかと、思わず柊也を睨むも、当の本人は次はどれを買おうかと自販機とにらめっこしている。
無視してるのはどっちだ。
心の中で悪態をついた。
「はぁ•••」
休憩室にある自販機の前で、紗綾は重い溜め息を吐き出した。
「なんだよ、その重っ苦しい溜め息は」
そんな紗綾に声をかけてきたのは
「あ・・・相川」
同期の相川 柊也(アイカワ シュウヤ)だった。
「なんかあったのか?」
柊也はいま買ったばかりだろう缶コーヒーを紗綾に渡しながら顔を覗き込む。
紗綾も缶コーヒーを受け取りながら、ミルクティーの方がよかったな、と失礼なことを思うが、もちろん口には出さずありがたくいただくことにする。
柊也の問いには応えずに。
「おい、藤村、無視すんな。なんかあったんだろ。あ、課長と喧嘩でもしたとかか?」
「•••ちょっ、声大きい!」
別に社内恋愛禁止というわけじゃないけれど、直属の上司と部下の恋愛となるとあまりいい印象は与えないんじゃないかと、そんな思いから紗綾は蒼士との付き合いを敢えて内緒にしてるのだけど、柊也にはたまたま知られてしまったのだ。
「大丈夫だって。いまここ誰もいないし。で?喧嘩の原因はなんだよ」
にやにやしながら聞いてくる柊也に対して心の中で舌打ちする。
「・・喧嘩なんかしてないわよ」
「ふーん、じゃあ仕事のことか」
なんでちょっと溜め息吐いただけでなにかあったと勝手に決めつけてるのかと、思わず柊也を睨むも、当の本人は次はどれを買おうかと自販機とにらめっこしている。
無視してるのはどっちだ。
心の中で悪態をついた。