嘘つきな唇
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「そういえば、来月新入社員がうちの課にも配属される」
色とりどりの美味しそうな料理が運ばれて、さてどれから食べようかと箸を手に持ったところで、蒼士はふと思い出したことを口にした。
「新入社員?もうそんな季節なんだね」
紗綾は二年前の自分自身の姿を思い浮かべて、あの頃は必死だったな、と懐かしくなった。
今も必死に仕事をしていることには変わりないけれど、肩に力が入りっぱなしだった初めの頃に比べれば、ほんの少しの息抜きは覚えたつもりだ。
「確か、紗綾と同じ大学出身のはずだよ」
「そうなの?へー、それは楽しみだな~」
同じ大学の後輩ができるのか。
二年後輩、か•••••••。
“紗綾!───”
瞬間、キュッと胸の奥が切なくなるような感覚が襲う。
忘れていたはずの―――。
胸に手を当てて俯いた紗綾は、今にも湧き上がってきそうなわけのわからない感情を押し込めるように目を閉じる。
「そういえば、来月新入社員がうちの課にも配属される」
色とりどりの美味しそうな料理が運ばれて、さてどれから食べようかと箸を手に持ったところで、蒼士はふと思い出したことを口にした。
「新入社員?もうそんな季節なんだね」
紗綾は二年前の自分自身の姿を思い浮かべて、あの頃は必死だったな、と懐かしくなった。
今も必死に仕事をしていることには変わりないけれど、肩に力が入りっぱなしだった初めの頃に比べれば、ほんの少しの息抜きは覚えたつもりだ。
「確か、紗綾と同じ大学出身のはずだよ」
「そうなの?へー、それは楽しみだな~」
同じ大学の後輩ができるのか。
二年後輩、か•••••••。
“紗綾!───”
瞬間、キュッと胸の奥が切なくなるような感覚が襲う。
忘れていたはずの―――。
胸に手を当てて俯いた紗綾は、今にも湧き上がってきそうなわけのわからない感情を押し込めるように目を閉じる。