ジュンアイ
灯り
夏崎愛琉(カサキアイル)は本気で不登校になりたかった。

しかし―現実は厳しかった…。

正門で足を止め、ため息を吐いてから門をくぐった。

「愛琉」

数メートルも進まないうちに声をかけられた。

愛琉はビクビクしながら返事をした。

「何?」

「これ持って行って。ノートもよろしく」

無理矢理愛琉にカバンを持たせると女子生徒は正門を出ていった。

これが…不登校児になりたい理由。

女子生徒―新上翼(シンジョウツバサ)に何故かパシりにされている。

クラスのリーダー的存在の翼に逆らう者はいない。

トロい愛琉は生け贄にされたのだ。

「はぁ~帰りたい」

重たい足を無理矢理動かし教室に向かった。

言われた通りノートをとる愛琉。

真面目な性格のため放り投げることはできなかった。
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