わたしとかれのじじょう
じこしょうかいを

ついてない、


なにがって全部、だ。

その日の私は全体的についてなかった。

朝は、寝坊スレスレ
お昼は食べ損ない
退社時刻間際のトラブル

とにかく一日を通してついてなかった。


だから、帰りの電車もそれはそれはついてなかった。



「 園畑!」


トラブルをやっとの思いで収めてからの帰り道。
いつも使ってる電車よりもだいぶ遅い時間だった。
いつも見る、端っこに立つサラリーマンもいないし、可愛らしい女子大生もいない。

だから、油断してたんだ。


「 竹内くん。」


私が口にした苗字はひどく懐かしい響きを纏っていたし、
できれば二度と口にしたくなかったんだけど。


私が反応したことに安心したのか、
彼はほっと安堵した表情でこちらへ歩いてくる。



ほら、


やっぱり今日は




ついてない。

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