わたしとかれのじじょう
「園畑、元気?」
竹内くんは、躊躇いがちに伺いながら近寄ってくる。
こんなとこでなにしてるの、とか
仕事は大丈夫なの、とか
なんで呼び止めたの、とか
聞きたいことはたくさんある。
でもどれも口から出てきてくれない。
じっと彼を見つめることしかできなくて。
「園畑、綺麗になったな。」
随分と近付いて、彼は泣きそうになりながら言った。
私の、セリフ。
「竹内くん、も」
困ったように微笑む彼に昔の面影を見た気がした。
「…美波、」
名前を、呼ばれた瞬間、なにかが逆流したような感覚に襲われる。
みんなが行き交う駅のホームで、
ましてやお互いが住んでた場所から遠く離れたこのホームで再会するなんて、思わなかったんだ。