LOVE*TRAIN
「彼氏さん、寝過ごさないようにね」
か、彼氏さん…………?
そういって前に向き直したサラリーマンは、それ以降何も口にすることはなかった。
待って、待って。
彼氏さんって、誰のこと?
………え、え?えええ?
考えられるのなんて一人しかいなくて、でもそれは大きな誤解であって…
私の肩でスヤスヤ眠る男の子は、全くの他人であって、名前も知らなければ話したこともない。
一言、違いますと言えば済む話なのだが、否定するために一度終わった会話を持ち出すのも申し訳ない。
しかも否定したところで、この人には全く関係のない話。
まあいいかな、
なんて心の中で呟いて、また自分の世界に入っていった。