LOVE*TRAIN
『○○駅~、お降りの際は足元にご注意ください。』
暫くすると車掌さんのアナウンスが流れ、サラリーマンの男性がいつものように降りて行った。
あれから一度もこちらを見ることはなく、男性は出て行ってしまった。
扉が閉まり、また電車は動き始める。
誤解されちゃったな…
やっぱり否定しておくべきだったのかな?
でも声かける勇気なんてなかったし…
ハァと小さくため息をつくと、ふと視界に万年筆が飛び込んで来た。
さっきまで男の人が座っていたのだから、きっと彼のものだろう。
私はそっとその万年筆を手にとった。