ドS×イケメン×生徒会長=??

電車で5時間、
バスで1時間乗り継いで新しいお家に着いた

中はもう片付いていて、私たちがするのは
自分でもってきた洋服を片づけるだけだった。

「これ、新しい制服ね!
ほら付けてごらん。
雪に絶対似合うから~~♡♡」

「あ、うん・・・」

渡された袋を開けると、
新しい制服が入っていた

「え、可愛い!!!」

「でしょ~?都内でも有名なの!!」

新しい制服は
黒のジャケット、紺のスカート
ベージュのカーディガン、
シルクでキラキラした真っ赤なリボン。
胸ポケットには金糸の校章が光っている。

「ほら、新しく買ったスクバと茶色のローファーを合わせたら
すっごく可愛いから!」

「田舎って地味だったんだ~(笑);;」

「ふふふ、あっ!!」

「どうしたの?」

「あ~、お母さん今から会社行かなきゃ・・・」

「じゃあ、私は片づけしておくから」

「ごめん、よろしくね~~;」

「いってらっしゃ~い」

(バタンッ)

一人になって、改めて新しい家を見回す。

「ここが・・・」

まだ実感がわかない。

ここは本当に私の家なの?
これからうまくやっていける?
引っ越しは夢じゃない?
むしろ一年前からずっと悪い夢じゃないかな?

また不安と悲しみで
頭と胸が埋まってくる。

「ふっ、うぅ・・・」

ダメだ、泣いちゃダメ。

自分に言い聞かせる
お母さんが悲しむから。
私が泣いたら、誰かが泣いちゃう。

ぐしぐしと目をこすって、
自分の部屋に入る。

「前の制服、片づけなきゃ・・・」

お母さんが見ないうちに。
別に見られても構わないけど、
気まずくなりそうだから・・・

バサッ、

「あ、」

赤いチェックのマフラーが衣装ケースから落ちた。
向こうでずっと着けていた、

「センパイっ・・・」

思い出す、愛しい人

『雪には一番似合うな。』
『新しいトコでも頑張れよ、
これが約束だ!』

大丈夫、

みんなからの寄せ書きカードを見る。

『雪、頑張れー!!』
『私たちのこと忘れないでね~><』
『いつでも帰ってこいよ』
『離れててもクラスメート!』
『雪、力むなよ~(笑)』

大丈夫、大丈夫。




天国のお父さん、
私とお母さんを見守ってて―――










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