BABY BABY


整った目鼻立ちに、ぱっちりとした瞳。少し小さめの唇はうっすらとピンク色で、青白い肌に映えている。
入学式の時より、少し痩せただろうか。
しかし、いくら部屋が涼しいからと言って、なんだって長袖なんて着ているんだ。

「さあ、凛も座りなさい。何か飲み物を…」
「あ、いえ、結構です」

こんな臭いの中で物を口になんて、できやしない。早く済ませて帰りたかった。

「えーっと、久しぶりだね、城島さん」
「…はい」

長い黒髪をゆるく動かし、頷く。消え入りそうな声だ。

「それで…最近学校に来てないけど、何かあった?」
「そのことですがね」

城島医師が答える。

「この子、ある女の子にいじめを受けてるって言うんですよ」
「…クラスの子、ですか」
「いえ…詳しく聞こうとしても、凛からは何も言ってくれなくて」
「パパ」

凛が父の服の袖を引っ張る。

「まあ、凛は黙ってなさい」

< 11 / 66 >

この作品をシェア

pagetop