BABY BABY
僕は唖然としてしまった。あるはずないと思っていたいじめが、まさか自分のクラスで起こっているとは。でも、いったい誰が?
いや、よく考えれば、入学式から学校に来ていないのに、いじめられてる、とはどういうことだ。おかしい。
「城島さん、そのこと、少しでもいいから先生に話せないか?」
「…でも」
「少しでいいから」
凛は少し戸惑った顔をして、口を開いた。
「…パパ。ちょっと先生に話したいことがあるの、二人にしてもらえる?」
「ああ、わかった」
意外な言葉だった。こんなにすんなりと話してもらえるとは思わなかった。
城島医師が部屋を出て、どこかの部屋に入る音がした。
凛のほうを見ると、なぜか涙を流していた。頬を伝ってぽたりと落ちた滴が、凛の服にじんわりと染み込む。
「…城島さん?」
「実は…」
凛は、声を震わせながらいじめについて話し始めた。