BABY BABY


「もう、パパったら」

先程とは別人のように声を高くして喋る凛の声が聞こえた。
驚いてしまった。
さっきまで泣いていた少女が、あんな風に喋れるのか。

そう思ってると、扉が開いた。

「どうも、先生」

城島医師と、凛。
凛は父の腕に自分の腕を絡ませ、とても親しげな親子に見える。

ふつう高校生にもなると、父親を嫌がってくるようなものだと思っていたが…
そういえば母親を見ていないが、父子家庭だろうか。まあ、これも聞くもんじゃないか。

「仲がよろしいんですね」

思わず言ってしまった。

「はい」

凛が嬉しそうに答える。父の顔を見上げて、にっこりと笑う。
こんな顔もするのか…と思うと、なぜか胸がどくんと大きく鳴った。
城島医師は、まったく…と呟いて凛の頭を撫でた。

「では、この辺で失礼します」
「はい。今日はありがとうございました。凛も言いたかったことが言えたみたいで」
「それはよかったです。また何かあれば伺います」
「お願いします。話し相手がいると凛にもいいと思うので。よかったら連絡先を教えてください」

渡されたペンで、紙の切れ端に電話番号を書いて渡した。

< 15 / 66 >

この作品をシェア

pagetop