BABY BABY


昨日見たばかりの、古い大きな家。早く、入らないと。
インターホンを鳴らしても、誰も出てこない。やはり、家ではなかったのだろうか。

でも…もし強盗だったら。動けないようにされているかも…

そう考えていると、扉が開いた。
城島医師だ。

「先生…?どうされました?」

なんだ?なんでこんな余裕で…
娘が、緊急事態じゃないのか!?

「あの、城島さん、凛さんが…」
「…凛が、どうかしました?」
「助けてって、電話を…」
「…」

城島医師は黙ってしまった。
何かを考えてるようだ。
僕はいても立ってもいれない。

「とにかく、この家で何かが起きてるんです!」
「…落ち着いてください。あまり大声を出すと、近所迷惑になります」

何を、この人は!同じ家にいて、あんなに仲良しで、何もわからないなんて。

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