BABY BABY
真実
―――逃げなくては。
こんがらがった頭には、それだけが浮かんでいた。
凛を抱きかかえて、闇雲に走った。薄暗くてよく見えないが、まっすぐ走れば出口に着くはずだ。
「…う……」
「逃げるぞ城島!ここにいちゃいけない。逃げるんだ!」
腕には凛の血がべっとりとついている。が、今はそんなことで気を失っていられない。
玄関の扉が見えた。
急いで外に出て、車を開ける。
城島医師は、追いかけて来なかった。
助手席に乗せれば対向車に驚かれるであろう。凛は後部座席に横たわらせた。気を失ったようだ。
出血は止まらず、ぐったりとしている。青白い肌がさらに青白い。
震えが止まらなかった。
いったい何が起こっているんだ。
あの男は、何のためにこんな…
気を失いかけた。