BABY BABY
僕は、凛を抱きしめた。
細くて骨ばった体はとても冷たく、震えていた。
「大丈夫」
傷はいつか治る。
時間が掛かったとしても、いつか塞がり、新しい皮膚になる。
昔の事は忘れて、新しく生きればいい。
「…先生……」
凛は泣き止んだようだ。
僕の背中を、ぎゅっと握り返す。
「気持ち悪くなんかない。これから綺麗になっていくんだ」
「……はい」
凛は急に僕を強く押し戻して、瞳をごしごしとこすった。
僕は少し驚いてしまった。
「…さ、ご飯を食べよう」
「…変なこと言って、ごめんなさい。ありがとうございます」
泣いてはいなかった。
だが、嬉しそうな笑顔もしてはいなかった。
…やっぱりいきなり抱きしめるのは駄目だっただろうか。
でも気づいてたらそうしてた。
そうするより、この子を安心させる方法が見当たらなかった。