BABY BABY


「きゃあっ!!」

看護婦の声だ。
僕は慌てて病室に駆け込んだ。

「どうしました!?」

凛はベットの中で上半身だけ起こし、病衣を少しはだけさせている。
看護婦はよろめいて他のベットに寄りかかった。

「…看護婦さんなのに、血を見ただけでそんなに驚きます?」

凛が薄く微笑みながら言った。
血…?どうして…

よく見ると、凛の左手首から血がするすると流れていた。

「あ…あなた何をしているの!そんなことしたらダメよ!」
「血が怖いの?よく看護婦になれましたね…」

くすくす、と笑う。
あの顔は何だ…
悦に満ちたような、凛の顔。

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