BABY BABY
凛の右手にはハサミが握られていた。血が、ついている。
「城島!何やってるんだ!」
僕がそのハサミを凛の手から奪うと、凛は笑うのを止めてこちらをじっと見つめた。
薄ピンクの小さな唇から、思いもよらない言葉が発せられた。
「だって、気持ちいんだもの」
僕はどうすることも、何を言うこともできずに固まってしまった。
すると凛は電池が切れたロボットのようにベットに倒れ、気絶した。
呆けていた看護婦はポケットから包帯を取り出し、無言で凛の腕に巻き付けた。
さすが看護婦だ。この状況でもまず患者を救うこと考えている。
僕はその様子をただ見ていることしかできなかった。