BABY BABY


昼食の時間になっても、全く食欲が湧かなかった。
弁当を箸でつついてみても、料理は一向に減らなかった。好物のたまご焼きも今は食べる気が起きない。

「結芽…大丈夫?体調悪いんじゃないの?」
「え…」

友達の手が、結芽の額に触れる。
ぎょっとした顔をして、友達が叫んだ。

「うわ!熱あるよ!!」

友達に引き連れられるまま、結芽は保健室へと運ばれた。
熱がある…?全然気がつかなかった。

「38.2度…だいぶ高いわね。今日は早退しなさい」
「結芽!あたし返りの支度しておくから…先生、ありがとうございました」
「あ…ありがと」

ふと、朝の約束を思い出す。
『中庭に来て欲しい』
今日は行けそうもない…友達に伝えてもらわないと。

熱を聞いた途端、自覚してしまって体調が悪くなってきた。
ベットに寝かされ、友達が戻ってくるのを待った。

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