BABY BABY
「結芽?何笑ってるの?」
「えっ!?な…笑ってないよ!」
危ない危ない。
はぁ…あたし、どうかしてる。
「ならいいけど。もうすぐ着くわよ」
――――――病院
凛は、朝あったことなどまるで自分のことではないようにしている。
「ねぇ先生。私出席日数が少ないから留年かな」
「あ…いや、これから来るようになれば大丈夫だよ。きっと」
「そっか。よかった」
朝のあれは、僕の見間違いだったんじゃないかと思うぐらいだ。
自分で自分の手首を切り…気持ちいい、と微笑んで言う。今の凛には、そんなことをする様子なんて露ほどもない。
コンコン、と狭い病室にノックの音が響く。
「はい」
「岡崎先生、いらっしゃいますか」
僕に?
ドアを開けると、警察の男が立っていた。