BABY BABY
病室を出て、病院の玄関まで橋田の後について歩いていく。
橋田は強面なので、通りすがる年老いた患者さんに「ひっ」と悲鳴を上げられている。
あれ…?あの後ろ姿…
「森里?」
「えっ」
森里が振り向く。
やっぱりそうだ。隣には…母親か。
「…先生っ!!」
「なんだ、早退か?お母さん、どうもこんにちは。担任の岡崎です」
「あらまあ、こんにちは。いつもお世話になっております」
ぺこりと会釈する。
橋田は少し戸惑っているようだ。
「お知り合いですか」
「はい、教え子です」
森里は、病気?だと言うのに、目をキラキラさせて飛び跳ねている。
「先生、病気なの?学校来なかったから心配したじゃん!」
「こら、結芽!言葉に気をつけなさい」
「あはは…いいんですよお母さん。ちょっと付き添いでな」
「付き添い?誰の?」
城島、とは言えないか…
戸惑っていると、橋田が声を潜めて言った。
「岡崎先生、そろそろ…」
「ああ、はい。ごめんな森里、ちょっと行くところがあるんだ」
「なーんだ…はーい」
「では失礼します。森里、お大事にな」
こうして森里と別れ、橋田の用意した車に乗り警察署へと向かった。