ナギとイザナギ
 僕が学校を休んでいた日から数日後。
 登校することもできて、ひと安心だったんだけど、べつの問題が発生していた。
 最近、さぎりが不幸に見舞われている、というのを小耳に挟んだ。
「ほんとかい、さぎりの身によくないことが起こってるって」
「ええ、ほんとよ、大地。お守りを買ってもダメみたいだし、どうすればいいか、わからないの」  
「さぎり」 
 僕たちは幼なじみで、お互いの家を行き来する仲だったから、僕だってちからには、なってあげたかったけど。
「なあ。ナギんとこの、イザナギさんに頼んでみたらどうだ、おれにはそのイザナギさんが、見えないけどよ。ほんとにいるなら、ちからになってくれるんじゃないのか」
 さぎりは、机に突っ伏した顔をはっとあげると、とたんに青ざめた。
「だめよだめ。それはできないわ。迷惑よ、悪いからできないわ」
「だけどさあ」
 大地は、とうとう僕のほうへ視線を泳がせる。
 僕は肩をすくめて、さぎりのほうへ歩を進めた。
「僕が頼むんだったら、いいだろう。イザナギさんに聞いてみる」
「わかってんじゃねえか、ナギぃ。じゃ、頼むぜ」
 まったくもう、イザナギさんといい、大地といい、どうして似てる人ばかりなんだろうねぇ。
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