ライトグリーン・スカイ
すぐに財布を出そうとしたら、財布が見当たらない。あれ?もしかして…そっか。

「ごめん。財布家に忘れてきちゃった」

「はあ!?」

「だって突然だったから。携帯と鍵しか持って来れなかった」

不満の声を漏らす栄兄ちゃん。凛ちゃんは気まずそうな顔をしている。

栄兄ちゃんは1つ溜息を吐くと、凛ちゃんが取り出していた300円を奪う。

「別に、お前が傷付いていようが関係ない。ただ」

変わらぬ態度だったけれど、何だか言葉を言い出せないのか中々続きが出てこない。

「俺は男好きじゃない。ただ初恋がある意味男だった。ただそれだけ」

恐らくは何を言っても聞かないだろう凛ちゃんに、誤解を解くかの如く言う。

後から恥ずかしくなったのか、頬を赤く染めていた。
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