ライトグリーン・スカイ
「あ、それならあたしもたまに行くよ。隣町だしね。そっか今日なんだ…」

凛ちゃんは花火大会の事を初めて知ったようだ。一瞬笑みを浮かべたと思えば小声で、

「良い?ラストチャンスよ」

と。さっきより少し低めのトーン。ラストチャンス、か…

凛ちゃんには悪いけれど、私はそのラストチャンスは捨てるよ。

大嫌いだから告白なんてしない。それでお終い。

なのになのに。ふと見た尋の表情が何故か悲しそうだった。“あの事”は本当なの?

だとしたら“あの事”の日を考えても、ラストチャンスって事?

勝手にすれば良い。勝手にすれば……私には関係のない話。

帰り道、まずは凛ちゃんと別れる。残るのは私と栄兄ちゃん、そして尋。

「花火楽しみだね」

「ああ。デカイの上がるかな」

2人が楽しそうに話しているのに、私はさっきまで忘れていた“あの事”で頭が一杯だった。
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