ライトグリーン・スカイ
「ねえ」

「あの」

ほぼ同時。勇気を振り絞ってかけた声は、もう1つの声と重なった。

その声の主は紛れもなく尋。彼自身も私に何か用事があったみたい。

これは思わぬ所でチャンスを得た。尋の話に乗っかれば大丈夫かな?

「木葉からどうぞ?」

「良いよ、尋からで」

私からだなんてさっき声が重なってしまった所為か、緊張が増す。

お父さん達の楽しそうな声だけが部屋中に響き渡る。

私達に声が掻き消されてしまうかのように。

それを察したのか、尋が1つの提案をした。

「場所変えようか。父さん達なら大丈夫。後でメールをしておけば良いだけの事だから」

確かに、静かな所でなければゆっくり話も出来ない。私はそれに同意する。

私達が何処かへ行こうとすると、お兄ちゃんが此方を向いて嘆き出した。
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