ライトグリーン・スカイ
「じゃあ、俺は適当に休んでいるよ」

そう言って近くのベンチに腰掛けるお兄ちゃん。その声は何処か疲れ気味。

あの宴会の空間は居辛かったみたいだし、緊張の糸が切れたのかな?

「じゃ、僕達も座ろうか」

お兄ちゃんが座っているベンチから少し離れたベンチに、2人並んで腰掛ける。

見上げれば、まだ完全に真っ暗になりきっていない空が広がっていた。

青い空間に私と尋とお兄ちゃん。真っ暗闇になるのをただ待っている。

「さっきは言いそびれたけど、可愛いね」

突然何を言い出すかと思えば。私じゃなくて浴衣を褒めているのだろう。

私を褒めているのだとしたら、それはとんでもなく大きな冗談だ。

“浴衣を褒めている”と想定して、私は否定をせずに素直に言う。

「有難う」

と。
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