ライトグリーン・スカイ
「綺麗だったね、花火」

私が“あの事”を知っていると言う事を尋はきっと知らないだろう。

だから平静を装って、知らないフリをしてそう言った。

だけど返って来る返事は何もない。どれだけ悲しんでいるの?

悲しい理由が分かっているのに、知らないフリをするのは正直言って辛い。

「ねえ木葉。無理しなくても良いよ」

「何の事?」

「もう知っているんでしょ?」

どうして尋は気付いたんだろう。私はやっぱり顔に出るタイプなの?

「あ、その顔は図星だね」

そう言って私の髪を撫でる。

さっきの悲しげな表情は何処へやら。楽しそうに笑って見せている。

私はそれ所じゃないと言うのに。尋に私が知っていると言う事が知れてしまった。

気が楽になってお構いなしに言えるようにはならない。
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