ライトグリーン・スカイ
尋を私の部屋に入れるのは初めてだったけど、何の感想も言われず。

…まあただベランダへ行く為の道程にしか過ぎないのだから、当たり前かな?

今の時間だからこそ体感出来る風の涼しさを感じ、外を眺める。

まだ完全に町が目を覚ますのはもう少し先のようだ。

「今日、だね…」

今日が本当のラストチャンス。私は果たして生かす事が出来るのだろうか?

尋は何も言わない。まるでこの景色を目に焼き付けるのに必死になっているかのように。

そっとしておいた方が良いのかな?でも、そんな場合じゃない。

「尋、あのね」

「あ、ごめん。ぼーっとしてた。何?」

漸く尋が反応を見せる。少し惚けたような珍しい表情。

今の彼の瞳は何だか不思議な物を感じる。

言い出したくても、上手く言葉に出来ない。
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