ライトグリーン・スカイ
「落ち着いた?」

「うん……」

濡れたハンカチを持って来てくれた尋。それを私は目に当てる。

ひんやりとしてとても気持ちが良い。

「何だかんだ言っても、木葉は僕の事心配しているんだね」

何を突然。私は尋を心配なんか…心配なんか……多分しているんだろうな。

それでもどうしてそう思うのか気になって、理由を聞いてみる事に。

「そうでなければ、この栞を渡さないでしょ?」

更に尋は続けて言う。

「木葉は僕が嘘吐きだって言い張っているのに、
これだけは信じてくれていたんだね。嬉しいよ。有難う」

嘘だと思いつつも桜の葉っぱを大事にしていたのは、

私の中の何かが“尋が好きな葉っぱに纏(まつ)わる事だから”と、

思っていたからだと思う。好きな物に対する嘘なんて、吐ける訳がない。
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