ライトグリーン・スカイ
突然尋は私を引っ張り、何処かへと連れて行く。

「何をするの!?離して!」

それでも尋は離そうとしない。“良いから”とだけしか言わない。

栄兄ちゃんが未だに頬を抑えている姿が目に入る。

そんなに力を入れて殴った覚えなんてないのにな。

行き先も告げず何も聞こうとしない尋。私を何処へ連れて行くと言うの?

引っ張られたまま、タイミング良く来たバスに乗る。

バス代なんか持ってきていないのにそんなのお構いなし。

バス代は勿論尋が払ってくれて。そうして着いた先は何時もの公園とは別の公園。

何時もの公園の倍はあろう大きな場所。

散歩を出来る道のトンネルもある。そのトンネルに尋は連れて行ってくれた。

入った瞬間にもうそこは緑色の世界。空を見上げれば光が微かに差し込んで来る。

青い空、と言うよりは黄緑色の空と言う方が似合っている。

その葉っぱを見れば尋の大好きな桜の葉っぱ。

そう。このトンネルは桜の木で造られていたのだ。
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