ライトグリーン・スカイ
「だったらさ、新婚旅行で行かない?」

「そうだね、新婚りょ…!?」

あははと楽しそうに尋は笑っているけれど、私は少し焦っている。

さっき抱き締められて、おじいちゃんに変な目で見られた時は忘れられたのに。

「僕の気持ちは変わらないから」

風がふわりと吹く。優しく穏やかな風。尋は本当に死んでしまったんじゃないか、

と思うくらいに私の手の届かない遠い存在の人間に見えた。

「尋、本当に死んで……」

思った事が思わず声になって現れる。尋は見た事もないけれど、神様のように微笑んで。

「そうだと言ったら、君は結婚してくれるの?」

「そんな訳、ないけど」

気の所為だろうか?羽根が生えているように見えるのだ。

でもそれは幻覚で、出入り口の光が尋に反射しているだけ。
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